私は甘すぎる溺愛から逃れる方法を知らない
玲乃の幼い日の思い出
熱に浮かされながら寝れば、嫌な夢を見てしまう。

幼い頃の思い出がフラッシュバックするような夢だった。

幼い頃の入院生活。

苦い薬を飲む時間も大嫌いで。


「嫌っ!私、お薬飲まないっ!」


幼い私は我儘《わがまま》を言って、なかなか薬を飲まず看護師さん達を困らせていた。

そんな時、私の病室にある男の子がやって来た。


「お前、人に迷惑かけて楽しい?」


その男の子は、私にそう言い放った。

「お前のせいでみんな困ってるのもわかんねぇの?馬鹿だろ」

突然の出来事に私は涙になってしまう。


「泣きたいのは、こっちなんだけど。同じ病棟で叫ばれるとこっちが迷惑」


その男の子が帰った後、看護師さんに彼の名前を聞くと「あー、光輝くんのことかな?」と教えてくれた。

それから、その男の子は私が薬を飲む時間のたびにやってきては、飲み終わるまで注意をし続けた。
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