私は甘すぎる溺愛から逃れる方法を知らない
「あの、光輝くん。今日は一人で飲むから……その……」

「言い訳とかいいから。早く」

それでも、厳しくても薬が飲み終わるまで付き合ってくれる彼が嫌いではなくなった頃。

薬を飲むのが前より苦手じゃなくなった頃。

私の薬の量が一つ増えることになった。


「頑張って飲むから、光輝くんも見ててね……!」


今思えば、本当に馬鹿なことをしたと思う。

その日も、光輝くんは私の病室に来て、文句を言いながらもずっと薬が飲み終わるのを待っていた。

薬を手で握り、机に水の入ったグラスがある情景が今でも思い出せる。



「じゃあ、飲むよ。せーのっ!」



その言葉を吐いた瞬間、彼は「倒れた」。

私は急いで、ナースコールを押した。

近くに看護師さんがいないか走り回って探した。
< 21 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop