私は甘すぎる溺愛から逃れる方法を知らない
「あ……大丈夫です……」

私はなんとか言葉を絞り出す。

男性は数秒私を見つめ、私に視線を合わせるために地面に膝をついた。

「とても大丈夫そうに見えないんだけど。俺に助けられることなら、言ってほしい。他の人の助けが必要ならすぐに呼ぼう」

「ちがっ……!あの……」

「ゆっくりで大丈夫だから」

優しくて頼りになる男性に、私はポロッと弱音をこぼしてしまった。


「……薬が苦手なんです、とっても。幼少期の記憶を思い出してしまうんです……今も頭痛がひどいのに、薬を飲めなくて」


その言葉を聞いた男性が一瞬だけ固まったのが分かった。

そして、小さく何かを呟いた。


「君はやっぱりずっとあいつが忘れられないんだね」


「え……?」


「なんでもないよ。今、飲もうとしてるのは、どの薬?」

私は男性に手で握っていた薬を見せる。
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