私は甘すぎる溺愛から逃れる方法を知らない
薬を暫く見つめていた男性は、急に意味が分からないことを言い出した。

「俺は、高瀬亮弥《たかせりょうや》。26歳。趣味は映画鑑賞とお菓子作り。お菓子作りはちょっと可愛い感じがするけど、結構毎週のように作ってるかな。あとは……」

「あの……!急にどうしたんですか!?」

「いいから。君の名前も教えて」

「上村玲乃《うえむられの》です……」

私は男性に釣られてつい答えてしまう。

「玲乃ね。玲乃の趣味は?」

好青年に見えた男性は、当たり前のように初対面のはずの私の名前を呼び捨てにする。


「ほら、玲乃。早く、趣味を教えて?」


「ちょっと待って下さい……!一体、急にどうしたんですか!?」


私が男性を問い詰めると、男性はクスッと笑った。


「俺たち、今から付き合おうと思って。だから、その準備。あ、大事なこと聞き忘れた。今、玲乃は彼氏いる?」


男性の言っている意味が本当に分からない。
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