気高き敏腕CEOは薄幸秘書を滾る熱情で愛妻にする
予定外の宿泊で躊躇いなくスイートを取れるのは、彼が新進気鋭のCEOだからだろう。
改めて彼を見ると、身に着けているものも上質だし、立ち振る舞いに気品がにじみ出ている。咲良とは違う世界の人なのだ。
けれど今は、彼と自分の違いは気にならなかった。
これから起きる出来事のことで頭がいっぱいで、他は何も考えられない。
夜景を見るふりをしながら心を落ち着かせていたそのとき、颯斗が背後から抱きしめて来た。
「あ……」
磨き抜かれた窓ガラスに映っているから、彼の接近には気付いていた。それなのに力強い腕に包まれ、固く逞しい胸に引き寄せられると、心臓が激しく高鳴り頭の中が真っ白になる。
彼に抱かれたくて、覚悟をしてここまで来たのに、いざことが始まると体が固まってしまい動けなくなった。
「緊張してる?」
「……少しだけ」
本当は颯斗に心音が届くんではなかと言うくらい、不安と期待で動揺している。
「すぐに何も考えられなくなる」
颯斗が咲良の体を軽々と抱き上げる。
あっ、と思った時には彼はリビング隣の寝室に足を向けており、咲良が言葉を発するより前にベッドに組み敷かれていた。
薄暗い部屋でも颯斗の表情がよく見える。と言うことは咲良の顔も見られているということ。
きっと緊張で酷い顔をしているだろう。それなのに颯斗はまるで大切なものを見つけたように幸せそうに微笑んだ。
「どうしても今夜、君を手に入れたいと思った」
「私も……あなたと離れたくないと思った」
平凡な咲良の日常に訪れる訳がないと思っていた特別なひととき。だからだろうか、いつもなら恥ずかしくて口に出来ない言葉すら何の躊躇いも感じない。
彼の言葉を心から信じた訳じゃない。ムードを盛り上げるリップサービスだろうと僅かに残る理性が訴えている。
ただそれでもいい。今は何も考えずにこの至福の時間に浸っていたい。
たとえ、たった一度の逢瀬になるのだとしても。
ベッドが軋む音と同時に唇を塞がれる。
「んっ……」
様子を窺う余裕なんてないとでも言いた気な初めから激しいキスで、すぐに唇を推し開かれる。
舌を絡め取られるとぞくぞくとした刺激が背筋を駆けあがり、咲良は反射的に颯斗の身体を抱きしめた。
咲良の動きが呼び水になったのか、颯斗の行動が大胆になっていく。
改めて彼を見ると、身に着けているものも上質だし、立ち振る舞いに気品がにじみ出ている。咲良とは違う世界の人なのだ。
けれど今は、彼と自分の違いは気にならなかった。
これから起きる出来事のことで頭がいっぱいで、他は何も考えられない。
夜景を見るふりをしながら心を落ち着かせていたそのとき、颯斗が背後から抱きしめて来た。
「あ……」
磨き抜かれた窓ガラスに映っているから、彼の接近には気付いていた。それなのに力強い腕に包まれ、固く逞しい胸に引き寄せられると、心臓が激しく高鳴り頭の中が真っ白になる。
彼に抱かれたくて、覚悟をしてここまで来たのに、いざことが始まると体が固まってしまい動けなくなった。
「緊張してる?」
「……少しだけ」
本当は颯斗に心音が届くんではなかと言うくらい、不安と期待で動揺している。
「すぐに何も考えられなくなる」
颯斗が咲良の体を軽々と抱き上げる。
あっ、と思った時には彼はリビング隣の寝室に足を向けており、咲良が言葉を発するより前にベッドに組み敷かれていた。
薄暗い部屋でも颯斗の表情がよく見える。と言うことは咲良の顔も見られているということ。
きっと緊張で酷い顔をしているだろう。それなのに颯斗はまるで大切なものを見つけたように幸せそうに微笑んだ。
「どうしても今夜、君を手に入れたいと思った」
「私も……あなたと離れたくないと思った」
平凡な咲良の日常に訪れる訳がないと思っていた特別なひととき。だからだろうか、いつもなら恥ずかしくて口に出来ない言葉すら何の躊躇いも感じない。
彼の言葉を心から信じた訳じゃない。ムードを盛り上げるリップサービスだろうと僅かに残る理性が訴えている。
ただそれでもいい。今は何も考えずにこの至福の時間に浸っていたい。
たとえ、たった一度の逢瀬になるのだとしても。
ベッドが軋む音と同時に唇を塞がれる。
「んっ……」
様子を窺う余裕なんてないとでも言いた気な初めから激しいキスで、すぐに唇を推し開かれる。
舌を絡め取られるとぞくぞくとした刺激が背筋を駆けあがり、咲良は反射的に颯斗の身体を抱きしめた。
咲良の動きが呼び水になったのか、颯斗の行動が大胆になっていく。