気高き敏腕CEOは薄幸秘書を滾る熱情で愛妻にする
どうやら理解してくれたようだ。ほっとしたそのとき、颯斗が切れ長の目をすっと細めた。
「俺に信頼関係を築くチャンスをくれ。お互いを知り、その後もう一度考えて欲しい」
それは恋人として付き合ってみるということだろうか。
「でも、渡会さんは事情が有って結婚を急いでいるんですよね?」
悠長に付き合っている時間なんてあるのだろうか。
「そうだけど、無理強いは出来ないだろ?」
くすっと微笑む颯斗に、咲良はますます戸惑う。
(私以外の候補を考えないのかな?)
なぜそこまで咲良に拘るのだろう。
「……他によい人はいないんですか? 渡会さんが望んだら女性は喜ぶと思いますけど」
颯斗のような何もかも持っている男性は、かなりモテるはず。ところが彼は呆れたような目を咲良に向ける。
「たった今振っておいて、それを言うのか?」
「あっ、すみません。そういう意味じゃなかったんですけど」
あたふたする咲良に、颯斗の表情がふっと優しくなる。
「別に怒ってない。でも駒井さんが思ってる程、俺に余裕がある訳じゃないってことだ」
「いえ、そんなことは……」
あるはずないと言おうとしたが、どんな言葉でも墓穴を掘ることになりそうで、咲良は曖昧に言葉を濁した。
それにしても、なぜかお試し交際をするような雰囲気になっている。もちろん結婚前提で。
流れでそうなったのだが、会話をコントロールしていたのは颯斗だ。
(私の気持ちが変わるまで待つ気なの? どれだけ時間がかかるか分からないのに?)
彼の言う勘とはそれ程重要なものなのだろうか。
ただいくら待たれても、咲良が頷く日は来ないだろう。
何の気持ちもなかったら、信頼関係で夫婦になることが可能だったかもしれない。しかしもう彼に恋をしてしまった。
それに彼の周囲の人たちが賛成すると思えない。
(新進気鋭のCEOともうすぐ無職になる元中小企業秘書じゃ、どう考えても釣り合わない……あっ!)
そこまで考えてはっとした。
(もしかして私が金洞副社長の秘書をしているというのも選んだ理由にあるのかな)
彼が協力している甘玉堂のライバル企業の秘書に近付き、何か情報を得ようとしているのだとしたら?
そんな考えが浮かんだが、すぐにある訳ないと打ち消す。
「俺に信頼関係を築くチャンスをくれ。お互いを知り、その後もう一度考えて欲しい」
それは恋人として付き合ってみるということだろうか。
「でも、渡会さんは事情が有って結婚を急いでいるんですよね?」
悠長に付き合っている時間なんてあるのだろうか。
「そうだけど、無理強いは出来ないだろ?」
くすっと微笑む颯斗に、咲良はますます戸惑う。
(私以外の候補を考えないのかな?)
なぜそこまで咲良に拘るのだろう。
「……他によい人はいないんですか? 渡会さんが望んだら女性は喜ぶと思いますけど」
颯斗のような何もかも持っている男性は、かなりモテるはず。ところが彼は呆れたような目を咲良に向ける。
「たった今振っておいて、それを言うのか?」
「あっ、すみません。そういう意味じゃなかったんですけど」
あたふたする咲良に、颯斗の表情がふっと優しくなる。
「別に怒ってない。でも駒井さんが思ってる程、俺に余裕がある訳じゃないってことだ」
「いえ、そんなことは……」
あるはずないと言おうとしたが、どんな言葉でも墓穴を掘ることになりそうで、咲良は曖昧に言葉を濁した。
それにしても、なぜかお試し交際をするような雰囲気になっている。もちろん結婚前提で。
流れでそうなったのだが、会話をコントロールしていたのは颯斗だ。
(私の気持ちが変わるまで待つ気なの? どれだけ時間がかかるか分からないのに?)
彼の言う勘とはそれ程重要なものなのだろうか。
ただいくら待たれても、咲良が頷く日は来ないだろう。
何の気持ちもなかったら、信頼関係で夫婦になることが可能だったかもしれない。しかしもう彼に恋をしてしまった。
それに彼の周囲の人たちが賛成すると思えない。
(新進気鋭のCEOともうすぐ無職になる元中小企業秘書じゃ、どう考えても釣り合わない……あっ!)
そこまで考えてはっとした。
(もしかして私が金洞副社長の秘書をしているというのも選んだ理由にあるのかな)
彼が協力している甘玉堂のライバル企業の秘書に近付き、何か情報を得ようとしているのだとしたら?
そんな考えが浮かんだが、すぐにある訳ないと打ち消す。