気高き敏腕CEOは薄幸秘書を滾る熱情で愛妻にする
「……妻が味方になってくれるっていいものだな」
「本当ですか?」
「ああ。そして俺も咲良の味方だ。何があっても咲良を守る」
「ふふ……なんだか照れます。でもすごく嬉しい」
颯斗との間に流れる温かくて優しい空気のおかげか、五葉瀬奈の登場で落ち込んだ気持ちが浮上する。
「予定よりも早く切り上げたからまだ早いな。どこか寄りたいところはあるか?」
時刻はまだ午後三時。これから遠出をする訳にはいかないが、大人しく家に帰るのは勿体ない。
「それなら久し振りに霽月に飲みに行きませんか? 一旦車を置きに行ってから地下鉄で」
颯斗との結婚が決まって以降、何かとやることが多くて飲みに行けないでいた。
仕事のストレスはもう無くなったけれど、これからはストレス発散ではなく、楽しむために通いたい。
「それいいな」
颯斗の表情も明るくなる。
「マスターに結婚報告しないとな」
「きっと驚愕しますね。それか冗談だと思われるかも」
すっかり明るさを取り戻した車内でマスターの反応を予想し合いながら、楽しく過ごしたのだった。
久し振りの霽月では、マスターに結婚報告をして、お祝いのカクテルをご馳走して貰った。
二人で初めて飲んだカウンター席に並び、他愛ない話をする。
途中で咲良のスマホに着信が入った。美貴からだったので、颯斗に断りを入れてから応答する。
「はい」
『咲良ちゃん、今話せる?』
挨拶すらなく用件を切り出す様子は、普段の彼女とは違っていて心配になる。
「はい。何か有ったんですか?」
『今日、取締役会が開かれて、金堂副社長の解任が決まったの!』
「ええっ?」
信じられない報告に咲良はつい大きな声を上げてしまう。
颯斗の視線が咲良に向く。
『近い内に臨時株主総会が開催されて、正式決定するはず。咲良ちゃん良かったね。これでもう嫌がらせの心配はなくなるわ』
「は、はい……でもどうして?」
副社長は金洞商会で絶大な権力を誇っていた。それなのになぜ解任になるのだろう。
『情報漏洩の犯人が副社長だと確定したのと、社長と役員たちの強い意思で。社長がぽろっと漏らしたんだけど、どうやら外部からの介入があったみたい』
「外部の?」
『詳細はまだ分からないんだけど、進展が合ったらまた連絡するわ』
「はい、ありがとうございます!」
咲良は美貴にお礼を言って、通話を終えた。
「本当ですか?」
「ああ。そして俺も咲良の味方だ。何があっても咲良を守る」
「ふふ……なんだか照れます。でもすごく嬉しい」
颯斗との間に流れる温かくて優しい空気のおかげか、五葉瀬奈の登場で落ち込んだ気持ちが浮上する。
「予定よりも早く切り上げたからまだ早いな。どこか寄りたいところはあるか?」
時刻はまだ午後三時。これから遠出をする訳にはいかないが、大人しく家に帰るのは勿体ない。
「それなら久し振りに霽月に飲みに行きませんか? 一旦車を置きに行ってから地下鉄で」
颯斗との結婚が決まって以降、何かとやることが多くて飲みに行けないでいた。
仕事のストレスはもう無くなったけれど、これからはストレス発散ではなく、楽しむために通いたい。
「それいいな」
颯斗の表情も明るくなる。
「マスターに結婚報告しないとな」
「きっと驚愕しますね。それか冗談だと思われるかも」
すっかり明るさを取り戻した車内でマスターの反応を予想し合いながら、楽しく過ごしたのだった。
久し振りの霽月では、マスターに結婚報告をして、お祝いのカクテルをご馳走して貰った。
二人で初めて飲んだカウンター席に並び、他愛ない話をする。
途中で咲良のスマホに着信が入った。美貴からだったので、颯斗に断りを入れてから応答する。
「はい」
『咲良ちゃん、今話せる?』
挨拶すらなく用件を切り出す様子は、普段の彼女とは違っていて心配になる。
「はい。何か有ったんですか?」
『今日、取締役会が開かれて、金堂副社長の解任が決まったの!』
「ええっ?」
信じられない報告に咲良はつい大きな声を上げてしまう。
颯斗の視線が咲良に向く。
『近い内に臨時株主総会が開催されて、正式決定するはず。咲良ちゃん良かったね。これでもう嫌がらせの心配はなくなるわ』
「は、はい……でもどうして?」
副社長は金洞商会で絶大な権力を誇っていた。それなのになぜ解任になるのだろう。
『情報漏洩の犯人が副社長だと確定したのと、社長と役員たちの強い意思で。社長がぽろっと漏らしたんだけど、どうやら外部からの介入があったみたい』
「外部の?」
『詳細はまだ分からないんだけど、進展が合ったらまた連絡するわ』
「はい、ありがとうございます!」
咲良は美貴にお礼を言って、通話を終えた。