気高き敏腕CEOは薄幸秘書を滾る熱情で愛妻にする
痛みが消え、引っ張られていた髪も自由になった。
「ぐわっ!」
潰れたような悲鳴が聞こえたと思ったら、体をぎゅっと包まれた。
「咲良、大丈夫か?」
余裕がない声は颯斗のものだった。
「颯斗さん!」
咲良は夢中で颯斗に抱き着いた。
颯斗が咲良を安心させるように抱きしめてくれる。
その温もりで恐怖で強張っていた体が段々熱を取り戻していく。
「颯斗さん……来てくれてありがとう」
安心したからか、ぽろぽろ涙が溢れ出す。
「間に合ってよかった。もう大丈夫だ」
「うん……」
それでも颯斗から離れられず、ぎゅっとしがみついてしまう。
彼はそんな咲良の頭を優しく撫でてくれている。
「……もう駄目かと思ったんです」
「こんな目には二度と遭わせない。俺が必ず守るから」
優しくて力強い言葉だった。胸に抑えきれない想いがあふれ出し、咲良は涙にぬれた顔を上げた。
「颯斗さんと二度と会えないかもしれないと思って、後悔しました。本当の気持を伝えておけばよかったって……私、颯斗さんが好きです」
颯斗の端整な顔に驚きが広がっていく。
そして次の瞬間には、ふたりの唇が重なっていた。
きつく抱きしめられながらのキスを受けて、咲良の頭は真っ白になった。
なぜ彼がキスをして来たのか分からない。
けれど今は離れたくなくて、広い背中に腕を回した。
「あの、そう言えば副社長は?」
体を離した後、咲良は気恥ずかしさを感じながら颯斗に問いかけた。
混乱して一種の興奮状態だったせいですっかり忘れていたが、副社長はどうなったのだろう。
(変な悲鳴が聞こえたのは覚えているんだけど)
「俺の顔を見たら一目散に逃げて行った。咲良に怪我がないか確認するのを優先したから追わなかったが、証拠はある」
颯斗はマンションのエントランスに目を向けていた。
「あ、監視カメラ」
「そう。警察に届けたら確認するだろう。でもそれは後でいい。まずは傷の手当だ」
颯斗が咲良の肩を優しく抱く。
「傷?」
颯斗の視線を追うと、手の平に大きな擦り傷が出来ていた。
気を張っていたせいか気付いていなかったが、自覚するとじわじわ痛みが湧いてくる。
部屋に戻ると、颯斗は咲良をソファに座らせて丁寧に手当てをしてくれた。
「ありがとうございます。お風呂にはビニール手袋を付けて入らなくちゃ」
「そうだな。他に痛いところは?」
「ぐわっ!」
潰れたような悲鳴が聞こえたと思ったら、体をぎゅっと包まれた。
「咲良、大丈夫か?」
余裕がない声は颯斗のものだった。
「颯斗さん!」
咲良は夢中で颯斗に抱き着いた。
颯斗が咲良を安心させるように抱きしめてくれる。
その温もりで恐怖で強張っていた体が段々熱を取り戻していく。
「颯斗さん……来てくれてありがとう」
安心したからか、ぽろぽろ涙が溢れ出す。
「間に合ってよかった。もう大丈夫だ」
「うん……」
それでも颯斗から離れられず、ぎゅっとしがみついてしまう。
彼はそんな咲良の頭を優しく撫でてくれている。
「……もう駄目かと思ったんです」
「こんな目には二度と遭わせない。俺が必ず守るから」
優しくて力強い言葉だった。胸に抑えきれない想いがあふれ出し、咲良は涙にぬれた顔を上げた。
「颯斗さんと二度と会えないかもしれないと思って、後悔しました。本当の気持を伝えておけばよかったって……私、颯斗さんが好きです」
颯斗の端整な顔に驚きが広がっていく。
そして次の瞬間には、ふたりの唇が重なっていた。
きつく抱きしめられながらのキスを受けて、咲良の頭は真っ白になった。
なぜ彼がキスをして来たのか分からない。
けれど今は離れたくなくて、広い背中に腕を回した。
「あの、そう言えば副社長は?」
体を離した後、咲良は気恥ずかしさを感じながら颯斗に問いかけた。
混乱して一種の興奮状態だったせいですっかり忘れていたが、副社長はどうなったのだろう。
(変な悲鳴が聞こえたのは覚えているんだけど)
「俺の顔を見たら一目散に逃げて行った。咲良に怪我がないか確認するのを優先したから追わなかったが、証拠はある」
颯斗はマンションのエントランスに目を向けていた。
「あ、監視カメラ」
「そう。警察に届けたら確認するだろう。でもそれは後でいい。まずは傷の手当だ」
颯斗が咲良の肩を優しく抱く。
「傷?」
颯斗の視線を追うと、手の平に大きな擦り傷が出来ていた。
気を張っていたせいか気付いていなかったが、自覚するとじわじわ痛みが湧いてくる。
部屋に戻ると、颯斗は咲良をソファに座らせて丁寧に手当てをしてくれた。
「ありがとうございます。お風呂にはビニール手袋を付けて入らなくちゃ」
「そうだな。他に痛いところは?」