気高き敏腕CEOは薄幸秘書を滾る熱情で愛妻にする

　特に瀬奈が颯斗に目を付けたときから、颯斗自身は近い内に五葉家との縁を切る覚悟を持ち準備して来ている。
「父からの出資を断るということ？　そんなことをしたら怒り狂うんじゃない？」
　羽菜がぶるりと身震いする。怒った父親が嫌がらせをすると思っているのだろう。
「恩をあだで返す訳じゃないから大丈夫だ。五葉さんは出資して貰った以上の利益を得ることになるんだから文句なんて言えないさ」
「どうやって？　そんなことが可能なの？」
「そのうち分る」
　羽菜は心配そうにしていたけれど、颯斗がそれ以上何も言わないと悟ったのか、部屋を出て行った。