気高き敏腕CEOは薄幸秘書を滾る熱情で愛妻にする
六章
六章 末永く幸せに
気がかりが解消したことで、ますます仕事に集中できるようになった。
慣れたことで依頼される仕事が増えたことに加えて、社内が年末特有の慌ただしさに溢れている。
颯斗たち役員も、新規取引先に訪問したり、招待されたセミナーに参加したりと休む暇なく精力的に動いている。
そんな中、咲良のスマホに懐かしい人から連絡があった。
国原美貴。金洞商会勤務時代の先輩で、咲良が一番親しくしていた同僚秘書だった人だ。
最後に連絡を取り合ったのは金洞副社長の解任報告のときで、その後気になってはいたものの、なかなか連絡出来ずにいた。
彼女からの連絡に嬉しさがこみ上げたが、仕事中で出られなかったので、帰宅してから折り返す。
美貴はすぐに応答し、以前と変わらない気さくに話かけて来た。
「咲良ちゃん久し振り。折り返しありがとう」
「美貴さんお久しぶりです。仕事中で出られなくてすみませんでした。今は大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ。久し振りに咲良ちゃんと話したくて。報告したいこともあってね」
「私も美貴さんと話したいと思ってました。ゆっくり会えたらいいんですけど、天北したばかりで、なかなか時間が取れなくて」
「それに、結婚したばかりだものね。旦那さんとは上手くいってるの?」
咲良は照れながら、幸せな結婚生活について話す。
「大事にされてるじゃない!」
美貴は嬉しそうに聞いてくれる。
しばらく惚気話に付き合ってもらっていると、美貴が思い出したように言った。
「そう言えば金洞元副社長がすごいことになってるの」
「すごいこと?」
佐倉はどきっとしながら美貴の話の続きを促す。