拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜
着いたのは六本木にあるオフィスタワーの前だ。

「SJH東京本部は、この35から40階」

崇臣さんの声が近い。私は彼に腰を抱かれ、通勤中の人たちと共にエレベーター内に吸い込まれていった。

35階で降りると、目の前の窓から東京タワーが見えた。思わず「わぁ!」と声を上げると、崇臣さんはクスクスと笑う。

「オフィスはここだけど、俺の家は向かいに見えるあのレジデンスの35階。自宅から同じ風景が見えるよ」
「え!?」

振り返ると、すぐ近くで崇臣さんが肩を揺らして笑っていた。

「琶月は本当に面白いね」
「いや、あの……」
「褒めてるの」

崇臣さんはポンと私の肩に手を置くと、「行くよ」と私の腰を抱く。そのまま向かった社内エレベーターを38階で降りる。

「ここが、新しいランジェリーブランド。琶月の新しい仕事のパートナーだよ」
「はい!」

私が返事をする間に、崇臣さんが『ジュエリーブロッサム』と書かれた扉を開いた。
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