拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜
それでも、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。目が覚めると、隣に崇臣さんはいなくて、代わりに美味しそうなスープの香りが鼻に届いた。

ダイニングへ向かうと、朝日の入るキッチンに、エプロン姿の崇臣さんがいた。

「おはよう、よく眠れた?」

基本はハウスキーパーさんが料理を作ってくれるので、夜も朝も冷蔵庫にある食材を温めて食べるだけなのだが、朝はこうして崇臣さんが温めてくれることが多い。

「はい、おかげさまで」

言いながら、昨晩はなかなか子供じみたことをしてしまったと恥ずかしくなる。夜眠れないところを、崇臣さんに寝かしつけてもらったようなものだ。

けれど不思議なもので、あんなにドキドキしていたのに、彼の腕の中が温かくて心地よくて、自然に眠ってしまった。崇臣さんは、すごい人だ。

「今日は工房に寄ってからSJHに来るんだよね。気をつけて」
「はい!」

一緒に朝食を取りながら、すっきりした頭で今日の打ち合わせに臨めるのは崇臣さんのおかげだと、心の中で感謝した。
< 28 / 57 >

この作品をシェア

pagetop