拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜
6 救ってくれた彼のために
ランジェリー案は、再び調整する形で持ち帰ることになった。厳しい意見もあったが、あの中で仕事ができるのだと思うとワクワクする。
次の会議までには、もっと納得のいくサンプルを制作していこう。そう意気込んで工房に戻ったが、そこでは従業員の皆がしんみりとした空気を醸していた。
最後の納品予定のドレスが仕上がり、車に運んでいるところだったのだ。
営業担当がこれを納品したら、タチバナブライダルとの契約品は全て納入したことになる。つまり、ドレスはもう作れない。
「あ、桜倉さんお帰りなさい」
私に気づいた社長がそう言ってくれたおかげで、その場の空気が和みだす。
「よし、ここからはランジェリーだね」
「桜倉さん、指示ください!」
皆が私に向ける笑顔が、痛い。本当はみんな、ドレスが作りたかったのだろう。
私が引きずっていてはいけないのに、どうしようもなく悔しくて、皆に申し訳なくなる。快く私の指示を受け、手を動かしていく皆の姿を見て、私は一人どうすることもできない気持ちと戦っていた。
次の会議までには、もっと納得のいくサンプルを制作していこう。そう意気込んで工房に戻ったが、そこでは従業員の皆がしんみりとした空気を醸していた。
最後の納品予定のドレスが仕上がり、車に運んでいるところだったのだ。
営業担当がこれを納品したら、タチバナブライダルとの契約品は全て納入したことになる。つまり、ドレスはもう作れない。
「あ、桜倉さんお帰りなさい」
私に気づいた社長がそう言ってくれたおかげで、その場の空気が和みだす。
「よし、ここからはランジェリーだね」
「桜倉さん、指示ください!」
皆が私に向ける笑顔が、痛い。本当はみんな、ドレスが作りたかったのだろう。
私が引きずっていてはいけないのに、どうしようもなく悔しくて、皆に申し訳なくなる。快く私の指示を受け、手を動かしていく皆の姿を見て、私は一人どうすることもできない気持ちと戦っていた。