拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜
「ウェディングドレス、ですか?」
思わず涙は引っ込み、まじまじと崇臣さんを見上げた。
「ああ。俺たちが最初に出会ったの、タチバナブライダルの前だったでしょ? あの時、新ブランドとウェディングのタイアップ企画を持ち掛けていたんだ。でも、担当者には最近の市場の話ばかりされて、きっと乗り気じゃないんだろうなってさっさと縁を切った。その時に、琶月の威勢のいい声も聞こえちゃったんだけど」
「あの日のことは忘れてください……」
言うと、崇臣さんは「忘れられないよ。琶月に興味を持ったのは、あの日、あの瞬間だったんだから」と笑う。
「けれど、どうしてもドレスとタイアップしたいと思っていたんだ。美しいドレスを着て式をして、披露宴して、それで終わりじゃない。その後の二人のお楽しみだって、二人の大事な儀式でしょ? だから」
崇臣さんは言いながら、私の作りかけのドレスを見上げた。
「運のいいことに、今ならドレスの精鋭部隊が下請けにいる。これを逃す機会はないって、上層部に持ち掛けていたんだ。きっと実現させる。だから――」
崇臣さんは言うと、ドレスをさらりと撫でる。
「――琶月に、ドレスを作ってほしい」
その優しい微笑みに、胸がいっぱいになる。
「はい!」
思わず私まで笑顔になる。勢いよく答えると、崇臣さんはもう一度頭を撫でてくれた。
思わず涙は引っ込み、まじまじと崇臣さんを見上げた。
「ああ。俺たちが最初に出会ったの、タチバナブライダルの前だったでしょ? あの時、新ブランドとウェディングのタイアップ企画を持ち掛けていたんだ。でも、担当者には最近の市場の話ばかりされて、きっと乗り気じゃないんだろうなってさっさと縁を切った。その時に、琶月の威勢のいい声も聞こえちゃったんだけど」
「あの日のことは忘れてください……」
言うと、崇臣さんは「忘れられないよ。琶月に興味を持ったのは、あの日、あの瞬間だったんだから」と笑う。
「けれど、どうしてもドレスとタイアップしたいと思っていたんだ。美しいドレスを着て式をして、披露宴して、それで終わりじゃない。その後の二人のお楽しみだって、二人の大事な儀式でしょ? だから」
崇臣さんは言いながら、私の作りかけのドレスを見上げた。
「運のいいことに、今ならドレスの精鋭部隊が下請けにいる。これを逃す機会はないって、上層部に持ち掛けていたんだ。きっと実現させる。だから――」
崇臣さんは言うと、ドレスをさらりと撫でる。
「――琶月に、ドレスを作ってほしい」
その優しい微笑みに、胸がいっぱいになる。
「はい!」
思わず私まで笑顔になる。勢いよく答えると、崇臣さんはもう一度頭を撫でてくれた。