拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜
「さて、ドレスですよね! どんなドレスにしましょうか!」

私は受け取った〝婚約指輪〟を作業台の端に大切に置くと、さっそくクロッキー帳を開いた。崇臣さんに笑みを向けると、彼は困ったように眉を八の字に曲げていた。

「どうしたんですか?」
「いや、何でもないよ。琶月は相変わらず頑張り屋だなあって思っただけ」
「つい夢中になっちゃうだけですよ」
「でも、頑張りすぎは禁止だからね」
「……はい」

昨夜、彼の腕の中で眠ってしまったことを思い出してしまった。複雑な気持ちになっていると、彼はふふっと微笑んだ。

「今日は終わりにしよう。明日以降、また正式に依頼を工房に送るから」

彼はそう言うと、私の腕を持ち立ち上がらせる。ドキッと大きく胸が鳴ったけれど、彼は私の腕を引き、私の寝室の前で離した。

「おやすみ、また明日」
「はい、おやすみなさい……」

寂しいと思ってしまったが、まさか今夜も一緒に寝たいなど、言えるわけがない。
一人とぼとぼと寝室に入り、明かりもつけずにベッドにゴロンと横になった。天井をぼんやりと見つめる。

いつの間にか、こんなに好きになっていた。
いつの間にか、こんなに心惹かれていた。

想えば、私を救ってくれたのは、いつも崇臣さんだった――。

だったら、私も崇臣さんにお返ししたい。
ランジェリーも、ウェディングドレスも最高のものを作り上げたい。

よし!

私は明日からも頑張ろうと、目を閉じた。
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