拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜
それからは毎日、夢中でランジェリーのサンプル作りと、ドレスのデザインに精を出した。ドレスを自社で作るとなれば、制作したランジェリーに響かないドレスを作ることができる。むしろ、ランジェリーのデザインを生かしたデザインにすることすらできる。

翌日、正式に工房に依頼が届いた。崇臣さんからのリクエストは、ゴージャスな、人目をひくデザインとのことだった。

工房で、クロッキー帳にデザインを描いていく。傍ら、ランジェリーのサンプル制作の指揮もとる。ランジェリーが形になっていき、さらにまたドレスを作れることとなり、工房内の士気も高揚していく。

ランジェリーのカーブやレースの透かしを生かしたドレスのデザイン案をさっそく崇臣さんに提出すると、社内会議で使いたいと返信がきた。ぜひ使ってほしいと伝えると、「必ずうまくいくようにする」とお守りのような言葉を私にくれた。

 ◇

ランジェリー作りに奔走すること一週間。
ついにランジェリーの見本品が完成し、マネージャーさんに予算もOKをもらうことができた。ジュエリーブロッサムの皆とハイタッチをし、工房に戻ると早速全員を製造ラインに乗せた。

ここにドレスの制作も加わるとなると、キャパオーバーになりはしないだろうか。不安になるけれど、工房の皆は「大丈夫よ」と職人魂を見せてくれた。

こんなにわくわくしたのは久しぶりかもしれない。
帰宅後、崇臣さんに会議の進捗を訊いたのだ。

「琶月のデザインしたドレス、GOが出たよ。それから、半年後のブライダルコレクション・トウキョウへの出演も決まった」
「ブライダルコレクション・トウキョウ……!」

タチバナブライダルと関わっていた時から憧れていた、あの夢の舞台に私のドレスが……!

「崇臣さん、ありがとうございます! すっごくうれしいです!」
「会社の宣伝だけれど、そんなに琶月が喜んでくれて嬉しいよ」
「はい! 絶対に成功させるドレスを作りますね!」
「頼りにしてる」

崇臣さんのその微笑みが、とても嬉しかった。
< 38 / 57 >

この作品をシェア

pagetop