拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜

7 任された大役

あっという間に2ヶ月が過ぎた。
工房では毎日ランジェリーの縫製に追われる毎日だ。サイズ毎にサンプルを作り、カタログが出来上がった。販路はSJHの営業さん任せであるが、とにかく見本品をということで、今は量産作業に追われているのだ。

一方でドレスの製作も並行して行っている。4ヶ月後のコレクションに間に合うよう、完成させなければならない。忙しいけれど、充実した毎日だ。

崇臣さんは一貫して、仕事の話は家ではせず、決まって会社のメールに送ってきていた。けれどその夜、夕飯を食べながら、崇臣さんは不意に私に言った。

「琶月、ブライダルコレクションのモデル、早めに決めてほしいって言ってたでしょ?」
「はい、ドレスをモデルさんに合わせて作りたいので。ランジェリーは既に見本品で量産してますが、ドレスはこれからですし、刺繍などを考えると流石にそろそろ採寸しないと、間に合わないなと思いまして」

すると崇臣さんは、ふわりと微笑んで言った。

「琶月に、モデルをやってほしいと思ったんだけど、どうかな?」
< 39 / 57 >

この作品をシェア

pagetop