拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜

8 ハプニングも乗り越えて

やがて、コレクション当日がやってきた。
会場内に入れただけでも光栄だが、お義姉さんが元モデルの人脈網を駆使して私にヘアメイクアーティストを頼んでくれていた。

ヘアメイクを施され、自分が自分じゃないくらい綺麗になる。派手過ぎやしないかと心配になったが、舞台の上は照明がたっぷりだから、このくらい陰影があった方が良いのだとお義姉さんに言われてしまった。

それから、着替える。ブランドの皆さんや工房の皆と作り上げたランジェリーを身に付け、その上に私と工房の皆で作り上げたウェディングドレスを纏う。
ジュエリーブロッサムの看板を背負う重圧はあるけれど、着た瞬間に姿勢がしゃんとした。これはきっと、インナーウェアのおかげだけじゃない。

「わー、とっても素敵な花嫁さん」

控室でお義姉さんに褒められ、自信がついた。

「早く崇臣くんに見せてあげたいわ。ここに来られないのが残念ね」

崇臣さんは、今日は関係者席にいるらしい。直前まで打ち合わせや会議などで忙しいらしく、本番まで来られないことは、昨日聞いていた。

けれど、私には代わりに婚約指輪がついている。左手薬指に、きらめく指輪。何も言われなかったけれど、今日はどうしても着けたかった。崇臣さんが、自分に力をくれるような気がするから。

「素敵な表情。その顔で、ランウェイも歩けたら最高よ!」

指輪をじっと見ているとお義姉さんに言われ、頬が熱くなった。
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