拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜
それにしても、お義姉さんは顔が広い。元モデルということもあり、控室ではひっきりなしに声をかけられていた。

ここにいる皆はモデルなのだ。一方で、私はただのデザイナー。
今更ながら場違いだと感じたが、ぐっとこぶしを握って耐える。大丈夫、たくさん練習もした。それに、このドレスも、このランジェリーも、良さは私が一番よく知ってるんだから。

やがてリハーサルが始まり、よし、と気合を入れる。SJHの出番は、ラストから二番目だから、しばらくは控室で待機だ。ドキドキしながら出番を待った。
すると、向こうから見たことのあるシルエットがやってくる。

あれ、あのドレス――。

見たことがあるだけじゃない。近づいてくるそれは、私が一番よく知っているドレスだ。
ドレスを身に纏うモデルに連れ添う人物を見て、確信した。

あのドレスは、私がタチバナブライダルに提案したドレスだ。
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