拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜
やがて本番になる。次々とモデルさんたちが控室から出て行く。
「相手役のモデルさん、間に合いますかね?」
不安に駆られて言えば、「大丈夫、もう来ているみたいよ」とお義姉さんが答えてくれた。
「あの、少しでいいので、打ち合わせとか――」
「それは無理よ。今、舞台の上はてんやわんやよ。新郎役のいる舞台の向こう側まで行こうものなら最後、戻って来れなくなるわ」
「そうですよね……」
肩を落とすと、「大丈夫よ、自分を信じて」と声を掛けてくれた。
そんな不安を抱えたまま、舞台袖までやってきた。次が、SJH『ジュエリーブロッサム』の出番だ。
胸に左手を置き、深呼吸をする。薬指につけてきた、きらめくリングが目に入った。
大丈夫。っていうか、大丈夫じゃなきゃだめ! この広告を成功させて、崇臣さんの役に立つって決めたんだから!
「SJHさん、お願いします」
「はい」
言われ、舞台袖から舞台の上へ。観客の声に圧倒され、カメラのフラッシュに驚きながら、堂々と舞台の上を歩いていく。大丈夫、俯いちゃダメだ。向こうから、きっと相手役のモデルは来てくれる。
そう思い、胸を張って、歩いていた時だった。
向こうからやってきた人物に驚き目を見張り、立ち止まってしまった。勝手に肩は釣り上がるし、両手で口を覆ってしまう。
「琶月」
向かいからやってきたのは、シルバーに輝くフロックコートに身を包んだ、崇臣さんだった。
「相手役のモデルさん、間に合いますかね?」
不安に駆られて言えば、「大丈夫、もう来ているみたいよ」とお義姉さんが答えてくれた。
「あの、少しでいいので、打ち合わせとか――」
「それは無理よ。今、舞台の上はてんやわんやよ。新郎役のいる舞台の向こう側まで行こうものなら最後、戻って来れなくなるわ」
「そうですよね……」
肩を落とすと、「大丈夫よ、自分を信じて」と声を掛けてくれた。
そんな不安を抱えたまま、舞台袖までやってきた。次が、SJH『ジュエリーブロッサム』の出番だ。
胸に左手を置き、深呼吸をする。薬指につけてきた、きらめくリングが目に入った。
大丈夫。っていうか、大丈夫じゃなきゃだめ! この広告を成功させて、崇臣さんの役に立つって決めたんだから!
「SJHさん、お願いします」
「はい」
言われ、舞台袖から舞台の上へ。観客の声に圧倒され、カメラのフラッシュに驚きながら、堂々と舞台の上を歩いていく。大丈夫、俯いちゃダメだ。向こうから、きっと相手役のモデルは来てくれる。
そう思い、胸を張って、歩いていた時だった。
向こうからやってきた人物に驚き目を見張り、立ち止まってしまった。勝手に肩は釣り上がるし、両手で口を覆ってしまう。
「琶月」
向かいからやってきたのは、シルバーに輝くフロックコートに身を包んだ、崇臣さんだった。