拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜
崇臣さんは、私の前まで笑顔で歩いてくる。何かを手に持った彼は、私の前で止まるとひざまずき、突然私の左手を取った。

「好きだよ、琶月。俺と、永遠の愛を誓ってください」

崇臣さんは、私の左薬指にシンプルな指輪をつけてくれた。どうやら、彼が持っていたのはリングピローだったらしい。本当の結婚式みたいで、胸がいっぱいになる。

崇臣さんは立ち上がると、私にもリングピローの上のリングを手に取るよう促す。

「琶月が、俺の指に着けてくれる?」
「はい!」

泣きそうになりながら、震える手で彼の左薬指に指輪をはめた。きらりと輝くリングは、夫婦の証だ。

「さあ、歩こうか。皆が待っている」

崇臣さんに腕を取られ、ランウェイを歩いた。堂々と胸を張って、この人の隣を歩ける幸福を味わう。

指輪の交換に熱くなったのは、どうやら私の胸だけでなかったらしい。客席が沸いている。冷やかすような黄色い歓声に、ランウェイを歩く私の思考はふと冷静になった。

そうか、これは崇臣さんの演出なんだ。広告としては大成功。崇臣さんは、すごい。
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