拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜
だったら、私も頑張らなきゃと、ポージングのために立ち止まる。崇臣さんは私の背後に立つと、予定していたように私のドレスを取り去った。

ランジェリー姿になる。ブラジャーから切れ目のないようなデザインで刺繍を施したウエストニッパー。そこからショーツを隠すよう続く透け感あるオーガンジーは、ペチコートの役割も担う膝丈。そこに縫い込まれているのは、パステルカラーの小花の刺繍だ。光沢ある絹糸で仕上げた刺繍は、まるできらめくの花畑のよう。
燃え上がるような初夜、純白の花嫁。どうか私を犯してくださいと、たった一人の愛しい人を想う。

すると、崇臣さんが背後から私を抱きしめた。ドレス用に作られたブラジャーはバックラインが低いので、背中が広く空いている。演出なのだと分かっているのに、彼の吐息を感じてドキドキする。首筋にキスを落とされ、同時に崇臣さんの両手が私の身体のラインをなぞった。

『彼女は俺のもの』

行動でそう伝えられているようで、ぞくぞくする。そんな崇臣さんは私の前に回ると、私を横抱きにしてその場で一回転する。歓声が響く。舞台の下、タチバナブライダルの元担当者が恨めし気にハンカチを咥えているのが視界の端に見えた。

はっとする。けれどすぐ、唇にキスが落ちてくる。真っ赤になりながら見上げると、崇臣さんは満足そうに笑って私を舞台の上から連れ去るように退場した。
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