拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜
崇臣さんに横抱きにされ、部屋に戻ってきた。フロックコート姿の崇臣さんは、格好良くて惚れ惚れとしてしまう。じっと見ていると、玄関を入った瞬間に優しいキスが降ってきた。

「た、崇臣さん!?」
「ふふ、可愛い」

崇臣さんは適当に靴を放り捨て、そのまま寝室へと向かう。
以前、一度だけ一緒に寝たベッドの上に、私をそっとおろしてくれた。

「崇臣、さん……」

彼の名を呼べば、優しく押し倒される。崇臣さんはそのまま、私の上に覆いかぶさった。

大好きな彼の、熱と欲を孕んだその瞳から、目が離せなくなる。途端に頬にキスを落とされ、おでこに、目に、鼻先に落とされる。

「そんなに俺を誘惑しないでくれ」
「誘惑なんて……きゃっ!」

言いかけた私の耳元を、崇臣さんの舌が這う。色気のない声が飛び出てしまい、恥ずかしくて目をつぶった。

「だめ、目を開けていて。俺だけを見ていて」

切望され、目を開く。流星群のようにキスが降ってきて、身体が彼を欲しいと騒ぎ出す。

崇臣さんは私のランジェリーを取り去り、そして自身も全てを脱ぎ捨てる。露わになった彼の肌に吸い寄せられるように、私は手を伸ばした。首元に腕を回し、自ら求めるように彼の唇を味わう。

ああ、好きだ。この人が、どうしようもなく――。

幸せに胸が満たされて、涙がこぼれ落ちてくる。極上の幸福と快楽を味わいながら、私たちは外が白み始めるまで、〝初夜〟を堪能した。
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