拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜
2 婚約者と新しい元請け先
私はすぐに、事情を社長に説明し謝った。隣で副社長さん――もとい、崇臣さんが自社との契約の説明をしてくれている。その間、私と社長を除く工房内全13名は全員がこちらを見ていた。
「つまり、桜倉さんは失礼なタチバナブライダルとの契約を切って、代わりにSJH社のランジェリー事業の話を手に入れてきた、ということか」
「はい」
婚約の話は伏せた。ここで話したら、ややこしいことになりそうだ。社長は「よし、分かった」と従業員に向かって手を叩く。すぐに全員が集まった。
「桜倉さんは、皆さんを守るためにタチバナブライダルとの契約を破棄してくれました。そして代わりにランジェリー事業の話を持ってきてくれました」
しゃ、社長……。
愛のある説明に、胸がじーんとなる。
「皆、文句はないよね」
「あのー」
一人の女性社員がそろそろと手を挙げた。
「文句ではないですし、桜倉さんが契約を切るってことは余程のことがあったのだと思うので、それに関しては何も言うことないんですけど……、桜倉さんは、SJHとはどういう関係なのかな、って」
「えっと、それは……」
名ばかりでも、彼と私は婚約者だ。どう話すべきか。口ごもっていると、突然腰をぐっと引かれた。
「つまり、桜倉さんは失礼なタチバナブライダルとの契約を切って、代わりにSJH社のランジェリー事業の話を手に入れてきた、ということか」
「はい」
婚約の話は伏せた。ここで話したら、ややこしいことになりそうだ。社長は「よし、分かった」と従業員に向かって手を叩く。すぐに全員が集まった。
「桜倉さんは、皆さんを守るためにタチバナブライダルとの契約を破棄してくれました。そして代わりにランジェリー事業の話を持ってきてくれました」
しゃ、社長……。
愛のある説明に、胸がじーんとなる。
「皆、文句はないよね」
「あのー」
一人の女性社員がそろそろと手を挙げた。
「文句ではないですし、桜倉さんが契約を切るってことは余程のことがあったのだと思うので、それに関しては何も言うことないんですけど……、桜倉さんは、SJHとはどういう関係なのかな、って」
「えっと、それは……」
名ばかりでも、彼と私は婚約者だ。どう話すべきか。口ごもっていると、突然腰をぐっと引かれた。