恋の病に、堕ちてゆく。
突然のことで混乱している中、監禁相手にご飯を恵んでもらうほどに図太い神経はしていない。

今度こそ毒を盛られる可能性もあるわけだし。


今は私の反応を見て楽しんでいるから生かされているだけで、飽きたら殺されるのかも…。


「あのさ、色々思うところはあるだろうけど。これ以上、あなたを傷つけるつもりはないんだよね?俺が傍にいる間は、加奈ちゃんの安全を保障する」


あなた自体が危険なのに、どこが安全なの?


「だから、俺から逃げないで」


なに?今度は心理戦?
女子高生の感情をコントロールするくらいのことは、簡単だと思われていたらムカつく。


「じゃぁ、話してよ。どうして私が誘拐されたのか!」

「それは無理かな」


間髪入れずに断られて、水をぶっかけたい衝動に駆られる。

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