恋の病に、堕ちてゆく。
グッと堪えて、キャップを閉める。

「お父さんとお母さんと、話をさせて」


とにかく2人の声が聞きたい。
2人の無事を確認したい。


「そうだね、上と掛け合っておくよ。それで、お腹は?」

「空いてない!」

「そう。それなら、これを飲むといい」

「……」


白い錠剤が布団の上に置かれた。

どこにでもあるような丸型の小さめの薬だった。


「加奈ちゃんが寝ている間に痛み止めの注射を打っておいたけど、そろそろ効果が切れる時間だ。今は興奮状態だから、あまり痛みを感じないかもしれないけど、飲んでおいた方がいい」


ワイシャツが捲られてた左腕にバンドエイドが貼られている。いつの間に…。
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