恋の病に、堕ちてゆく。
考えさせてください、というには時間がなさすぎる。どうして昨日、教えてくれなかったのだろう。

ただ私を他の場所に移したいだけなら、此処に連れてきた時と同じように気絶させて連れて行けばいい。私の同意はいらないはずだ。


「…行きます」

行ってみないと分からない。
別に確かめたいわけではないけど、家の中の行き来だけでは身体が鈍ってしまう。このままでは酷い運動不足になりそうだ。


「良かった。着替えを持って来るから待ってて」

「あ、はい」

着替えられるんだ。さすがに貸切でもスウェット上下はまずいか…。

水族館に行くと言って出掛けた先が、自宅だといいのに。我が家に帰れたらいいのに。もしそんなサプライズがあったなら、今日までのことをなかったことにできるのにな。
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