恋の病に、堕ちてゆく。
用意された服は、袖にフリルがついた可愛らしいシャツに、淡いピンクのワイドパンツだった。白いコートもある。

誰が用意したもの?パンツは少し大きめだったけれど、元々ゆったりとしたシルエットなので違和感はないだろう。

「この洋服、どうしたのですか?」

先生は細いから、もっとスタイルの良さを強調するようなタイトな洋服を選ぶイメージがある。まぁただのイメージだけど!

「…俺の妹のだよ」

少し言いにくそうに、苦笑いされた。

「お古でごめんね?」

「妹さんの!こちらこそ、借りてすみません」

青波には妹さんが居るんだ。
妹は洋服を貸す時に理由を聞いたのだろうか。それとも勝手に持ち出した?


「後、もしものためにコレ入れておくね」

丸い形の機械をパンツのポケットに入れられる。スマホで有名な会社のものだ。脱走してもGPSで私の居場所がすぐに分かってしまう。

でもポケットに入っていると教えてしまったら、逃げ出す時に私が捨てるとは考えないのだろうか。


「……これ、意味ありますか?」

思わず聞いてしまった。
それともこれはフェイクで、洋服に縫いついているとか?
< 121 / 261 >

この作品をシェア

pagetop