恋の病に、堕ちてゆく。
車を降りると、水族館の前で待機していた黒いスーツの男女二人組が駆け寄って来た。
「館内は異常なしです」
「了解です」
青波が応対する。
「引き続き警備にあたります」
「お願いします」
黒髪で身なりがきちんとしていて、どう見ても誘拐犯グループに見えない二人組だ。今の時代は悪も、"悪"と名乗らず、善人のフリをしているものなのかもしれない。ターゲットを信頼させてから騙す詐欺も流行ってるし。
「おい、青波ぁ。随分と急すぎないか?」
前方からまた別の人物が歩いて来て、青波の肩に手を回した。
「悪い。事前に告知すると情報漏洩のリスクが高まるからな」
「そんなの、俺が知ることかよ…あ、君が加奈ちゃん」
視線が私に移り、会釈する。
パーマ頭に大柄な男性で、イルカのイラストが描かれたTシャツを着込み、キャップにはニモの刺繍が入っていた。首からスタッフと書かれた名札を下げている。
「館内は異常なしです」
「了解です」
青波が応対する。
「引き続き警備にあたります」
「お願いします」
黒髪で身なりがきちんとしていて、どう見ても誘拐犯グループに見えない二人組だ。今の時代は悪も、"悪"と名乗らず、善人のフリをしているものなのかもしれない。ターゲットを信頼させてから騙す詐欺も流行ってるし。
「おい、青波ぁ。随分と急すぎないか?」
前方からまた別の人物が歩いて来て、青波の肩に手を回した。
「悪い。事前に告知すると情報漏洩のリスクが高まるからな」
「そんなの、俺が知ることかよ…あ、君が加奈ちゃん」
視線が私に移り、会釈する。
パーマ頭に大柄な男性で、イルカのイラストが描かれたTシャツを着込み、キャップにはニモの刺繍が入っていた。首からスタッフと書かれた名札を下げている。