恋の病に、堕ちてゆく。
第3章
水族館に行った夜。

青波が夕飯の片付けをしている間、イルカのペアマスコットを袋から取り出す。

やっぱりせっかく2匹あるんだから、1匹は青波にあげようかな。いらないかもしれないけど。一応、聞いてみようかな。


「あれ、起きてたの?先に寝てて良かったのに」


部屋に青波が入ってくると、ベッドを背もたれにして床に座っていた私は意味もなく立ち上がってしまった。


「どうした?」

テーブルの上に置かれた時計は夜10時を回ったところだ。


「イルカ、ありがとうございます」

「キーホルダーにしたんだ。良いじゃん」


キーホルダーの輪っかを手にひっかけて青波に見せると、まずまずの反応だった。


「あの、良かったらーー」

もし断られたら、青波にはこのイルカの可愛さが分からないってことだよね。
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