恋の病に、堕ちてゆく。
昔の夢を見た。
家族でイルカショーを見に行った懐かしい夢だった。現実と違うことは、青波が隣りにいたことだ。
また見に来れて良かったね、と笑っている。

幸せな夢だった。もう少し見ていたかったな。

翌朝、青波はいつものように私より早く起き、「おはよう」と声を掛けてくれて、変わった様子は特になかった。


「おはようございます」

「今朝は大我特製オムレツだよ」


今日も寝癖は見つからず、爽やかさ100%だ。
朝からかっこよくて困るんですけど。

髪の毛先が四方八方に向いている私とは大違いで、慌ててクシで梳かす。


「大我さんが?」

「うん、ちょっと寝坊しちゃって大我が作ってくれたんだ」

「昨夜は遅かったのですが?」

朝までぐっすり眠ってしまい、いつ青波が戻って来たか分からなかった。誘拐されている身分でよく眠れるものだと我ながら呆れてしまう。
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