恋の病に、堕ちてゆく。
朝食の後、お風呂を済ませるともう先生は部屋で待っていた。

テーブルの下に置いていた参考書をパラパラめくっている。

「お待たせしてすみません」

「いいのよ、こっち来て」

先生は参考書を置いてペンを手に取る。
青波からもらったペンには先端にクリップがついていて、失くさないように参考書にくっつけておいた。

「このペンどうしたの?」

「借りました」

「青波から?」

「はい」

先生の前で腰を下ろし、背中を向ける。
今日も怖くて風呂場の鏡で傷口は直視できなかった。

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