恋の病に、堕ちてゆく。
消毒液も傷薬も顔をしかめて思わず声に出てしまうほど染みていたけど、少しずつマシになってきている。

「昨日、水族館に行ったんでしょ?どうだった?」

「久しぶりに外に出れて嬉しかったです」

「そう。楽しかったなら、良かったわ」

私の勘違いかもしれないけれど、先生の言い方には少し棘があった。気のせい?


「青波…さんと、イルカショーを見ました。とても可愛くて!先生は見たことありますか?」

場を和ませようと、イルカの話をしてみる。


「……私も連れて行って貰ったわよ、青波と付き合っている頃に」

「え?」

「あれ?これは聞いてなかった?」

これってどっち?
青波と先生がイルカショーを見に行ったこと?
それとも2人が付き合っていたこと?


「はい…聞いてないです」

「そっか、余計なこと言っちゃったね。些細なことで別れてしまったんだけど、加奈ちゃんの件が落ち着いたら、また恋人に戻りたいって伝えるつもりよ」
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