恋の病に、堕ちてゆく。
「警察がこの辺を包囲しているから、これ以上は逃げられない。もう大丈夫だよ」

「良かった…」

四季が救急箱から傷薬と包帯を取り出す。

「沁みますよ!」

「優しくやってよ!」


唇を噛みながら先生は虚な目で青波を見ていた。

「あんたが、青波に怪我をさせたのよ!あんたさえ、いなければ!」

「……」

目が合ってしまい、罵られる。

いつもの綺麗で美しい先生から豹変して、鬼のような形相で私を睨む。


「この子が気に入らないから、こんなことしたのか?」

大我が問う。

「そうよ!青波がこの女に優しくするから!だから人を使って、この子の居場所をあの男に伝えたのよ!」

「あの男?」

「隣りの家に侵入した男よ!」

私の敵は、先生だったんだーー。
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