恋の病に、堕ちてゆく。
第4章
真実を聞いた途端、身体の力が抜けた。

青波に寄りかかる。


「良かった…青波さんが、悪者じゃなくて」

「どう見ても悪者には見えないでしょ?」

悪戯っぽく笑った青波の笑顔に顔が熱くなる。

初めて嘘のないホンモノの笑顔を見れた気がして、嬉しい。

もっと、笑って欲しい。


「明日、お父さんの元に連れて行くから。安全確認ができたらすぐ送る」

「ありがとうございます」


良かった。明日にはお父さんに会えるんだ。

ほっとしたら涙が溢れ、青波さんの長い指が拭ってくれた。


「色々とごめんな」

「悪いのは、お父さんだから気にしないで」

こんな形でお母さんのことを知るくらいなら、最初から教えて欲しかった。そりゃぁ動揺はするけれど、たったひとりのお母さんだもの、心配するなと言われても無理だ。
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