恋の病に、堕ちてゆく。
卓上型コンロに熱々の鍋を置いたテーブルを4人で囲む。鍋の中ではおでんがくつくつと美味しそうに煮えていた。

大我がご飯とそれぞれのお皿におでんを取り分けてくれた。向かい合うとフードをとった彼の顔がよく見える。

切れ長の瞳が色っぽく姿勢が良くて、箸の持ち方や食べ方が綺麗だ。フードと花柄のタトゥーが彼のもつ上品な雰囲気を覆い隠していたようだ。

美男子3人組に囲まれて少しいたたまれず、ここに女子が私ひとりであることに安堵する。

きっとみんなは美人の彼女がいるのだろうな。

「美味っ!」

四季がロールキャベツを頬張る。

おでんは青波と大我が作ってくれたけど、食材を買いに行ってくれたのは四季だ。私はみんなに助けられて贅沢すぎる監禁生活を送っていたのだ。
そしてそれも今日で終わりなんだ。

「本当に美味しいですね!」

最後の夜に、私は精一杯の感謝を込めて夕食を味わった。
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