恋の病に、堕ちてゆく。
暗闇に慣れてきた目で、青波を見つめる。

「青波さんは、」

「うん」


ーー今、彼女はいますか?


それだけのことなのに、言葉にできない。


「青波さんの、好きな食べ物はなんですか?」

「食べ物?突然だね」

「…今日、聞かないともう聞けない気がして」

「そっか。オムライスかな」

あ、最初の自己紹介でもそう言ってたな。

「オムライス、私も好きです。守ってもらったお礼に…美味しいオムライス屋さん調べて、奢りますね」

青波は頷いてくれたけど、「楽しみにしてるね」とは言ってくれなかった。

約束したかったのに。

「おやすみ」

「おやすみなさい」

また会う約束をしたかったのにね。
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