恋の病に、堕ちてゆく。
翌朝4時に起き、着替えて荷物をまとめる。
せっかく買ってもらった参考書を紙袋に入れた。

古典と数学。最初、先生はその2教科を買ってきてくれたけど、私の特に苦手教科を父から聞いていたのだろう。

青波から借りたペンを手にとり、紙袋にしまいたい衝動に駆られる。

このまま持ち帰ったら、返す口実でまた青波に会えるかもしれない。その流れでオムライスにも行けるかも。

でもこれは青波の大切なものだから、返さないとダメよね。妹さんの形見を貸してくれたのだから、ズルい真似をしたら妹さんに怒られそう。


部屋のドアがノックされる。

「どうぞ」

「どう?準備終わった?」

「はい、終わりました」

ベッドの上のイルカも紙袋に入れる。
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