恋の病に、堕ちてゆく。
「言うことを聞いてくれれば、殺さないよ?」

微笑みながら、軽く返される。


「…両親が関係しているんですか?誘拐ですか?」


癖のない黒髪に、高い鼻、薄い唇。
小顔で、右耳にはシルバーのフープピアス。

逃げた後、警察に男の特徴を伝えないと。
残念ながら、サングラスで目元は隠されていた。

ワイシャツに黒いスラックスを履き、特徴のない格好だった。


「うん。しばらく加奈(かな)ちゃんを監禁することになると思う」


ごく自然に名前を呼ばれ、鳥肌が立った。


「り、理由は?」

「あなたのお父さんに色々と言うことを利いてもらいたくて。加奈(かな)ちゃんのためなら、お父さんはなんでもするでしょう?」

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