恋の病に、堕ちてゆく。
お父さんは製薬会社で新薬の研究をしている。

その研究がなにか関係しているのか…。
とにかくよくない事件に巻き込まれてしまったんだ。

考えれば考えるほど、頭が混乱し、どうして自分が此処にいるのか分からなくなる。


「はぁ、はあ…はあ」

ーー苦しい。
急に胸がつっかえた感じがして、上手く呼吸ができない。

息苦しさに胸元を押さえて、男から目を離す。


「落ち着いて」

はあはあ、はあ…。

「息を小さく吸って、ゆっくり吐いて。ほら、小さく吸って…」


男の言葉に耳を傾けながら、なんとか息を整える。

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