恋の病に、堕ちてゆく。
「洗面所に忘れ物が…」

「あ?早く行け」

「は、はい!」


大我と同じ部屋に居たら萎縮しちゃうから、まだ青波で良かったのかな…。物腰は柔らかいしね。

威圧的な大我から逃れるように洗面所のドアを開ける。


「え……」

「よっ、」

上半身裸で洗面所の前に立つ青波と目が合った。

鍛えられた身体が目に入る。


「し、失礼しました!」

慌ててドアを閉める。
バタン、と激しい音がした。


勢いよく大我を振り返る。
なんで教えてくれなかったの!そう目で抗議したけれど、ふいっと目を逸らされた。

わざとだ、絶対わざと!
口元が少しゆるんでるもん!
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