恋の病に、堕ちてゆく。
華奢に見えるから、あんなに鍛えていると思わなかった…。腹筋なんてバキバキだった!私が抵抗してもビクともしないはずだよ。

無駄な脂肪が一切なく、引き締まった身体にはいくつも切り傷が刻まれていた。まだ真新しいものもあった。痛くないのかな…。

って、ジロジロ見過ぎだよ!私のバカ!


「ごめん、お待たせ」

「い、いえ」

ドアが開かれて、シャツを着た青波が現れた。濡れた前髪は彼の目元を隠している。

先ほどの裸が目に焼き付いてしまったせいか、邪魔な前髪を掻き上げる仕草ですら色ぽく映る。

見てはいけないものを見てしまったような後ろめたい気持ちになった。


「さ、朝ご飯にしよう。お腹空いたでしょ」

「え?もう朝ですか?」

「よく寝てたからね」

どうやら私は寝過ぎたらしい。
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