恋の病に、堕ちてゆく。
濡れた髪をそのままに青波は黙々と箸を動かしている。

ドライヤーをかけなくていいのかな?

囚われの身で誘拐犯のことまで考え出したら、あの映画のヒロインと同じになってしまう。

私は違う。
逃げるチャンスを伺って全て上手く行った後は、死ぬまで、この人たちを恨み続けるんだ。

絶対に諦めない。


「昨日の映画は退屈だったから、今日はコメディにしようよ」

呑気に映画鑑賞の提案をされた。
まぁ見張り役もヒマなんだよね。


「青波さん!警察が!」

突然開いたドアから、大我の焦る声がした。

警察!?
< 67 / 261 >

この作品をシェア

pagetop