恋の病に、堕ちてゆく。
「青波さん、行きました。近くで空き巣があったみたいで、注意喚起でした」

「そうか」

タンスのドアが開き、眩しくて目を細める。


「大丈夫ですか?」

「ああ、問題ない。任務を続行しろ」

「了解」

銃が大我の元に戻り、部屋のドアが閉められた。


ああ、警察は帰ってしまったんだ。


身体の力が抜けて、その場でしゃがみ込む。

青波に銃を向けて、逃げれば良かったのに。今なら助けを求められたのに。

どうして私は怖気付いてしまったのだろう。
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