恋の病に、堕ちてゆく。
「加奈!無事か!怪我はないか?」

電話越しに確かにお父さんの声が聞こえた。

お父さんの声に全身の力が抜ける。
なんとか踏ん張って声を張り上げる。

「私は大丈夫だよ!元気だよ!」

青波に言われた通りに答える。言われてなくても、同じ答えだっただろうけど。


「お父さんとお母さんも大丈夫?」

「心配ないよ。お母さんも無事だ。今は2人で研究所にいる。監視されていて加奈を助けには行けないが…でも大丈夫だから、必ず迎えに行く」

「お父さん!なんで私たちがこんな目に?」

「今は話せない。本当に加奈には申し訳ないが、しばらくそこで待っていてくれ」

「私の居場所を知っているの?」

「父さんを監視している奴らが加奈の居場所を話していたから、間違いない」

そっか。そうなんだ。
少しホッとした。

誰も私が監禁されていることを知らなかったらどうしようとか、探していても一生見つからない海外とかだったらどうしようとか。たくさん考えていたから、とりあえずは良かった。

お父さんも無事で良かった。
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