恋の病に、堕ちてゆく。
そんなことしようものなら、その形のいい唇を思いっきり噛んでやる!

意気込んではみたものの、そんな気持ち悪いことは絶対にしたくないため、黙って受け取った。


「毒を入れるくらいなら、加奈ちゃんが起きる前に殺すよ」

「殺すつもりはなくても、身体が麻痺する薬とか入れてるんじゃないですか?人質は大人しい方がいいですし」


私が動けない方が脱走の可能性が減るし、男にとっては都合がいいだろう。

さりげなく部屋の配置を確認する。この部屋には窓がひとつだけあって、黒のカーテンが引かれていた。

あの窓から外へ逃げれるのかな?
後で確認できるチャンスがあればいいんだけど…。カーテンのせいで今が夜か朝かさえ検討がつかない。

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