恋の病に、堕ちてゆく。
ーーそろそろ時間だ。
お父さんの近くで男の声がした。

「加奈、必ず迎えに行くから。待っていてくれ」

「うん!」

プツリと電話が切れた。

良かった…。お母さんの声も聞きたかったな。

研究所に居るって会社のだよね?お父さんの会社は複数の研究所を保有しているけど、どこなんだろう。


お父さんが必ず迎えに来ると言ってくれたんだ。

私は待っていればいい。

状況は最悪のままだけど、心がとても軽くなった。


壁に寄りかかっていた青波は携帯電話をズボンのポケットに戻して、部屋から出て行った。

青波の仲間がお父さんたちを監視してるのだ。ご飯も温かい布団も提供されているはず。
きっと大丈夫だ。
< 80 / 261 >

この作品をシェア

pagetop