恋の病に、堕ちてゆく。
映画の中の2人は抱き合って、じゃれあって、手を繋いで陸にあがった。


「先生?ああ、シュンカのことか」

シュンカさんって言うんだ。
そういえば彼女は最初から私に名乗らなかったな。


「恋人?なんでそう思った?違うけど」

「違うんですか?」

先生の片想いなのかな。あんな美人でも片想いするんだ。


「ああ」

「じゃぁさっき、先生が来る前にあなたはなにを言いかけましたか?」


俺はーー、と言いかけたその先を知りたい。


「さあ?なんだっけな」

「誤魔化さないでください」

「でももう加奈ちゃんはここから逃げたいとは思ってないはずだ。それに俺は君を救うヒーローじゃない。あれ?それとも俺たち付き合ってたっけ?」

「付き合ってないです!」

青波の方が一枚上手だ。
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