恋の病に、堕ちてゆく。
それもそうだ。私は逃してもらう必要はなくなった。もう青波の助けはいらない。どうせ助けるつもりもなかったはずだし。


「はは、はっ!」

お腹を抱えて笑っている無防備な青波はどうしてこんな仕事をしているのだろう。先生の言っていた通り、青波は優しい人だと思う。

本当の悪になりきれてないのかな。


「…まぁ良かったな。ここで大人しくしていれば、いずれ加奈ちゃんは助かる」

でも私、青波や大我の顔を見てるんだけど。それでも解放されるって、私たち家族はどんな理由で捕らえられたのだろう。

やっぱり父の研究が関係しているんだ。
新薬の開発。それは父にしかできないことだ。

この人たちはお父さんに何かをさせようとしてる?

聞いても答えてくれないであろうことは気付かないフリをしよう…。今は助かることだけを考えるんだ。
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