恋の病に、堕ちてゆく。
青波はこのペンを誰からもらったのだろう。
身につけて大切にしているのだから、その人だったら青波のことを止められるのでは?

その人の言葉だったら、彼の心に届くんじゃないかな。

「なんて、余計なことだよね」

私には関係のないことだ。

勉強に集中しよう…。

数学の教書を広げる。
数学と古典の参考書を差し入れてもらった。
どちらも私の苦手教科だからこの機会に復習しよう。


ふと、窓の外が気になった。

別に、見てもいいよね。


後ろめたさもあり忍足で窓際に立つ。


黒いカーテンをそっと捲ると、住宅地が広がっていた。

一軒家が立ち並び、意外にも見慣れた光景が広がっていた。
< 89 / 261 >

この作品をシェア

pagetop